知ることの楽しさを

筆者が3年前に出会った先輩。その彼の魅力は、いつも自分の活動を楽しんでいること。どうやって楽しみを見つけているのか。それは「今、行動を起こす」ということ。

甘艸さん

海外との接点をつくること

 「海外で働きたい」小さいときから漠然とそう思っていた。世界情勢や国際政治などに興味があって、小学生の頃にアメリカで暮らしていたことが外の世界を意識するようにつながったんだよね、ぜったいに。海外の国や地域に実際に行くことでしか得られないものがあると感じてた。

 高校のある時に東大に国際関係論学科があるということを知り、受験に対して意識は高くなかった自分が、一つの目標をもった。実は大学まであまり勉強をしてきたと思っていない。スポーツが大好きで子どもの頃もいつも外で遊んでいるタイプだった。高校時代もほとんど部活でバスケに没頭して。だから大学に入学してからもう少しアカデミックなチャレンジを新しくしようと思った。1年生の時、アイセックという団体に出会い海外の人と関われる機会や自分自身が海外に行けるチャンスがあると知り、入ってからは海外から来た学生のサポートを担当することになった。最初に自分が会ったのはすごく厳格なイスラム教徒の人だった。それまでに知ることがなかった文化を持つ彼が、どんな思いで日本に来たのかを聞き刺激を受けた。それからはそれぞれのバックグランドを持つ、例えばアメリカ、ポーランド、トルコなどの他の学生とも積極的に接するように心がけていた。とても楽しかったですね。

 3年生で、念願の国際関係論学科に進学。自分の行った教養学部には留学の制度があり、これは逃すわけにはいかないと思った。いずれ海外の大学で勉強をしたいと思っていたから、将来の判断材料としてこの時期に行けることがよかった。単純に海外に行くことがすごく好き、というのもありますけどね(笑)

 実際に留学して、大学での教育者たちの学生に対する熱意とキャンパス環境の違いを感じた。日本とアメリカの大学を比較する視点が持てたんですね。例えば先生が毎回授業をパワーポイントですごく丁寧に指導する姿や毎日やっていてオープンなオフィスアワーがすごい。それから、大学によるとは思うけれど、インフラの面でも学生にとって快適な環境が整えられていて、日本の大学に足らないものもあるんだなと思った。もう一つ得られたものが、現地の大学に通っていた日本人の友達。その後ニューヨークで就職が決まった人や東大の大学院に来ることになった人と出会えて、ネットワークができた。

 大学では、あこがれてた国際関係論学科に入っていたのだけれど、若干後悔もあるんです。というのは勉強の内容がいかに国際的であろうと、自分が国際的なことをしているなと感じられないから。海外の人と接する活動をしてきたから余計にそう思うのかもしれない。また、例えば海外の大学で「自分の専門は国際関係論です」と言ってもあまりアピールにならないし、大学を卒業して自分が得る学位は教養学になるから、「大学時代に何を学んできたか」とビジネスの場で聞かれても即戦力としてセールスポイントにならないんじゃないかな、と思うんです。ずっと行きたいと思っていた学科だから複雑な思いかな。

 幼少時代を含めて今までに行ったことがある国はアメリカ、カナダ、メキシコ、トルコ、インド、オーストラリア、ガーナ、イタリア。3年生の春にアイセックの国際会議でアフリカのガーナへ行き、3年生の後半にはインドに企業研修に行った。俺にとって、行った先々の国を自分の目で見るということがすごく大事なのね。国際的に活躍したいと思っていても、自分が知らないことを果たして説得力を持って言えるのか。それぞれの場所にどんな文化があるのかを知っているべきだと思って。昔メキシコに行こうと決めたときに、友達が「おまえなんで一人でそんな危険なところに行くんだよ」と言った。だけど実際に行ってみたら全く危険なんかなく、すごくきれいで交通の便もとてもよい所で、その時あらためて自分の足で行ってみないと分からないものだなと確信しましたね。今のうちにいろんな国に行っていることが将来活かせようになると思う。

自分自身をつきつめること

甘艸さん

 いよいよ大学後のことを考え始めて。そもそも、俺は大学を卒業してすぐに大学院に行きたいとは思わない。一度実務経験を積んでから大学院に行きたい。うまく言えないんだけれど社会人としての経験をしてからMBAとかプロフェッショナルなスクールに行くとか、社会に出てからこういう分野に自分は興味があるんだと見つけてからのほうがメリットが生まれるんじゃないかと。学部から大学院にそのまま進むと大学の延長になってしまう。周りの先輩を見ていてそう思ってしまう面が多々あるんです。

 だから就職活動をした。最初は、海外で働きたいと思ってたのね。いろいろやってみた、だけどなかなか日本の大学を卒業してすぐに海外でやりたい仕事に就くということは難しいと感じた。そしたら、日本でならちゃんとした大学を卒業することになるし、日本にいるからこそ自分に発揮できるものがあるのではないかと思って、日本の会社に行こうかと決めた。とはいっても苦戦したけどね。そもそも就職活動をスタートした段階で、自分の本当に志望する業界というのが絞れていなかった。最初は企業のブランドイメージや人気で選んでしまい、面接の場などで自分をうまく表現できなかった。就職したい会社を見つけるにあたって、自分が最も大事にしようと思った軸は短期間で専門知識や自分に足りないものを得られる所であるか、という点。そういう観点から外資系企業を中心に受けるようになった。しかし実際は志望度の強かった外資系企業とはなかなか縁がなく、最終的には志望順位が若干下がる日本企業からオファーをもらい、そこに行くことにした。けど、親や先輩方と相談したり、自分でじっくり考える時間をとったこともあり、就職活動の結果には大変満足している。最終的には誰もが自分の適正と能力に応じて必然的に一つの企業に落ち着くんだと。自分自身では見えていない自分の強みや弱みを判断してもらえるのが就職活動の本質であり、それはしっかりと受け止めるしかないと開き直れるようになった。

 俺にとって大学は勉強をする場というよりは自分のステップアップをする場だった。最も影響を受けたのはアイセックにいた東大の先輩たち、もちろん同期や後輩も。すごく将来のことを見据えて行動をしている人がいて、俺ももっとそうアクティブにならないとなと思わされた。意識の高い人たちに自分の将来を真剣に考えるきっかけを与えられた。あと、東大という意味では社会的なステータスの重みはやっぱりあると感じた。就職活動ではそれが自明だったね。スタート地点で学歴で絞っている会社とか。例えばアメリカに行った時でも日本以外のアジアの学生から「あぁ、東大かよ」のような反応を受けて東大ブランドみたいなものは実感した。アイセックでもね、インカレの組織なんだけれど、東大生と他大生の違いは出てきたこともあった。だけどそれは悪いことだとは思わなかった。組織に多様性が生まれて、それぞれの良さや強みを持ち寄れる楽しさがあり、学内以外のコミュニティとつながりができてくることがおもしろいと思った。

 究極の勉強って就職活動だと思ったんだよね。それは自分が何をしたいのか最初から全部を自分で考えて一人でやるから。勉強を定義するとしたら、自分の持っているモチベーションや目標意識を元に自分自身で調べたり学ぶことだと思う。どういう企業を受けるとか、面接の合間の時間をどう管理するかとか、家に帰って本を読むのか、寝て休むのか、全てが自分に委ねられている。会社に自分が得たいものや目標を得るために行く、その過程が勉強。アカデミックな勉強をすることが社会に貢献することにどうつながるのかが俺にはあまり見えていないから、大学での勉強と自分にとっての勉強は全く違うものだと思ってる。知らなかった自分の一面を見つけたり、自分がなにをやりたいのかとつきつめたり、そういう経験が貴重だと思う。

 じっとしているのはもともと好きじゃない性格なんだよね。今の俺にはこういう人になりたいとか、こういう職種に就きたいというのは見つかってない。だけどなにかやっていないと気がすまない(笑) 常にアクティブなことがいいかどうかは分からないけど、せっかく一度しかない人生なんだから楽しまないと。そして楽しむためには自分が行動を起こさないと、と思います。


甘艸さん

名前:甘艸浩平 (あまくさこうへい)
所属(学部/学科/学年):教養学部、総合社会科学科、4年
出身地:千葉県柏市
高校 私立武蔵高校
大学時代の活動
1年目:AIESEC
2年目:AIESEC
3年目:専門課程へ(国際関係論)、AIESEC、ミシガン大学へ交換留学
4年目:インドで4ヶ月間のインターンシップ
5年目:就職活動

大学時代一番打ち込んだこと:AIESECの活動

好きな言葉:

将来の夢:模索中

リンク:http://kamakusa.jugem.jp/

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掲載日:06-07-21
担当:熊沢直美
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