天の川直送便

地文研究会天文部による完全自作プラネタリウム

 駒場祭の日だけ駒場に現れる満天の星空たち。地文研究会天文部は、駒場祭で自作の本格的なプラネタリウムを披露してくれる。入場者数約1000人の毎年大人気の企画である。学生が0から作り上げるプラネタリウムは、どうやってできていくのか、その製作現場にお邪魔させていただきました。


 駒場祭まであと1ヶ月に迫ったある日、天文部が学生会館でプラネタリウムを作っていると聞いて、その作業を見学させていただいた。案内していただいたのは、天文部部長の栗原さん(理科1類2年)。とても親切に、作業の1つ1つを丁寧に説明してくれた。

投影機の写真

 最初に訪れた部屋で作っていたのはプラネタリウムのドーム内に星空を映し出す主投と補助投。学生が0から作ったとは思えないほど本格的なプラネタリウムの心臓部は、なんといかにも学生らしい材料―空き缶と紙コップでできていた!失礼だとは思いながら手に入る身近なもので作るポリシーなのかと思い聞いてみたところ、答えは「No」。空き缶と紙コップのサイズがとてもぴったりなのだそうだ。そしてプラネタリウム製作のポリシーは「作り変えて進化させること」。毎年毎年、前の年と同じものを作るのではなく、少しでもよいものを目指して、いろいろな部分を少しずつ進化させているようだ。

 部屋の片隅には、たくさんのLEDが並んだ細く切ったベニヤ板。端の方から赤・黄・緑の順にいくつものLEDが配線されている。これは朝焼けや夕焼けをドームに投影するための装置―朝焼け夕焼け薄明薄明投影機で、同じものを14個作ってドームの周りにぐるっと配置するらしい。

 星空を映し出す投影機を作る部屋を後にし、隣の部屋へ。その部屋では、これまたプラネタリウムの心臓とも言える星空を描き出すためのフィルムを現像していた。真っ黒な薄い円盤状のフィルムにちょっとやそっとじゃ見れないほどの小さな穴が開いていて、その穴を通った光がドーム上に見事な星空を描きだすというわけだ。

星座絵の写真

 次に、さっきの部屋によって流星の投影機を見せてもらった後、展示する星座の絵を制作している部屋へ。カッターで丁寧に切り取って、紙を貼っていく。出来上がりがとても楽しみだ。

 階段を昇って次の部屋へ。床の上に横たわる黒い大きな塊は、プラネタリウムの星空をその上に映すドームだった。その重さ、ゆうに200kg以上。よくもこんな高いところまで運んだものだと感心してしまう。たけのこ状に切った黒いビニールをつなぎ合わせて作ったこのドームは、広げたときの直径が12m。昨年のものより2m大きいそうで、年々拡大傾向にあるらしい。このドームは、換気扇を改造して作ったファンを使って膨らますため、空気が漏れるとしぼんで天井がおちてきてしまう。人の出入りは大丈夫なのかと思い聞いてみたところ、なんと2重扉にして対処しているそうだ。

変換シミュレータ・・・おおきな歯車のついた装置の写真

 同じ部屋の中に、大きな歯車がいくつも覗く金属製の物体が。その名も「日周運動移動変換シミュレーター」。星空が地球の回転に合わせて日周運動していく様子を再現するための機械だ。とても本格的でしっかりしたつくりになっていたので、既製品でこういう部品が売っているのかと思いきや、何年も前に偉大な先輩が作ってしまったとのこと。今ではその技術は失われ、作り直したくても作り直すのが難しいそうだ。

総長賞の賞状の写真

 最後に天文部の部室へ。壁には五月祭や総長賞の賞状が並ぶ。栗原さんや部員のみなさんに、作業のことや駒場祭の見所などを語っていただいた。
プラネタリウムの製作作業は9月の始めから毎週土日に行っていたそうだ。作業をしているのは全部で25人ほど。ほぼ3ヶ月をかけて作られるプラネタリウムのクオリティーの高さは本物である。駒場祭までの準備も大変ではあるもののの、準備の中で一番大変なのは駒場祭当日だそうだ。ドームの中に設置した恒星の投影機を調整するのにとても時間がかかるらしく、去年は一日半もかかってしまったとか。
駒場祭での目標を聞いたところ、ずばり「駒場グランプリの奪還」。一昨年は駒場グランプリの初代大賞に輝いた天文部のプラネタリウムだったが、昨年は2004年度文科12類20組のお化け屋敷にその座を奪われてしまった。それを今年はぜひとも奪還しようというのである。これだけ精魂こめて作り上げたプラネタリウムならきっと駒場グランプリの奪還もきっと叶うはずだ。
プラネタリウムの今年のテーマは「天の川直送便」。「東京で見れる天の川」を目指して、天の川の再現に力を入れたそうだ。昨年の1.2倍のドームに描き出される天の川に乞うご期待!!!

 駒場祭の喧騒から少し離れて、星空と音楽とストーリーの織成す癒し空間でほっと一息ついてみてはいかがでしょう。


天の川直送便
場所: 第二体育館
ホームページ(天文部のサイト内、駒場祭企画ページ): http://gfd00.ms.u-tokyo.ac.jp/tenmon/komasai/2005/

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掲載日:05-11-22
担当:八木宏晃
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