模擬裁判

 駒場祭では毎年恒例となっている、全学自由ゼミナール「法と社会と人権」受講者有志を中心に企画されている「模擬裁判」。今年も11月23日・24日の13時からコミュニケーションプラザ北館の多目的教室4で行われる。今年度の代表を務める伊藤大介さんに、詳しいお話を伺った。


模擬裁判

 ―企画の詳しい内容について教えてください

 今回は、民事の損害賠償請求事件です。かいつまんだ内容としては、ある産婦人科医の男性が自殺をし、残された遺族が勤務先の病院を相手取って損害賠償を請求したという事件になっています。遺族側は、男性の妻が原告なのですが、夫を失った悲しみや、頑張って働いていたはずの夫が死ななければならなかった理不尽さといったものを抱えています。一方、被告である病院側は、産婦人科医が全国的に不足しているという状況の中で、なんとか人手不足を解消しようと精一杯努力し、勤務に関してもできる限り過酷にならないように配慮していたのに、自殺という形で優秀な医者を失ってしまい、やりきれなく思っています。こういった思いのぶつかり合いが今回の事件の内容になっています。本来であれば何年もかかる裁判ですが、ここでは一日でやってしまいます。

 ―企画の見どころは?

 一番のポイントは、来ていただいたお客さんの方々に判決を下していただくということですね。証言の内容やパンフレットに記載されている証拠をもとに、自殺したことと業務の間に因果関係は認められるかとか、病院側は安全配慮義務を果たせていたかどうかとか、そういったいくつかの争点について考えていただいた上で、それらを総合的に評価して、最後に5択のアンケートで判決を下していただく、という形になっています。

模擬裁判

 ―大変なことは?

 法律に関しても演劇に関しても正直に言って素人ですので、その二つについてどのように工夫していくかというところが一番大変かなと思います。法律に関しては、「法と社会と人権」ゼミ講師の川人博弁護士の事務所にバックアップしていただいていますし、メンバーの中にはダブルスクールをして法律を勉強している者もいますので、その人たちが中心となって証人尋問や判決の主文などの法律構成をしています。演技面でも、自分の役柄の持っている思いやイメージをより分かりやすく伝えるために、練習をビデオで撮影してチェックしたり、全体練習のときにリアクションペーパーを集めたりして、素人である分工夫してやろうと思っています。

 ストーリーについては、事前にフィールドワークという形で、実際にそういった境遇におちいった人にお話を聞かせていただいて、そのエッセンスを盛り込むようにはしています。1,2年生だけで作るのは大変なので、3,4年生の先輩や医学部の方などにも助言をいただいたりして、本当に多くの方に協力していただいています。

模擬裁判

 ―来場した方に伝えたいことは?

 来年の5月から裁判員制度がスタートするのを受けて、今月末から「候補者に入っています」という通知が出されます。裁判員制度は刑事裁判の重要事件にしか適用されないので、本来は今回のような場合は対象外なんですが、自分の判決が目の前の人の一生を左右するという重みや責任を感じてもらえればいいなと思って、あえてこのような形にしました。また、最近小児科医と産婦人科医の不足が叫ばれているところですが、単に問題を訴えるだけではなくちょっとアプローチの仕方を変えて、裁判という枠組みの中でそういったことも伝えていければと思います。

 かなり重い内容ではありますが、僕たちはかなり和気あいあいと楽しくやっているので、ぜひ来ていただければと思います。そして皆さんに裁判員になりきっていただいて、自分の良心と法律だけに従って判決を下していただけたら、模擬裁判はその時にやっと完成するのかなと思っています。


時間:23日(日)13:00〜15:00 24日(月)13:00〜15:00
場所:コミュニケーションプラザ北館2階多目的教室4

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掲載日:08-11-20
担当:金井雄太
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