熱中講義(本田先生)

熱中講義(本田先生)

法文1号館ではUT-Festival主催の熱中講義「教育・仕事・家族―戦後日本型循環モデルの変容ー」が行われていました。講義を担当したのは東京大学教育学部の本田由紀教授。戦後の日本社会に現れていた教育・仕事・家族の強固な一方向的な循環関係(戦後日本型循環モデル)がバブル崩壊を境にしてどのように変容していったかについて、図やグラフを用いながらわかりやすく説明していきました。

戦後日本型循環モデルとは、教育・仕事・家族という3つの領域の間で、アウトプットを他の領域が受け止める仕組みを指しています。教育が仕事に新規学卒一括採用という形で新規労働力を供給し、仕事が長期安定雇用と年功賃金制度のもとで家庭を養い、家族が高い教育意欲のもと私的教育費を子どもにかける(この原因として本田先生は教育への公的支出の少なさを挙げていました)、という循環が戦後日本では現れていました。この循環モデルの問題点は、教育が職に就くための手段になったり、仕事が家族を養うための手段となったり、家族が教育のために親密性を失ったり、各々の社会領域が自立性を失うことでした。そして、バブル崩壊を境に仕事の領域で雇用を維持することが困難になったことで、各々社会領域の間の太い流れが細くなっていき、新たに非正社員の増加、賃金の減少、教育格差の拡大、といった悪循環が新たに生まれてしまったことが指摘されました。

熱中講義(本田先生)

こうして、教育・仕事・家族に関するもともとの問題に加えて新たな問題が生まれていることに対する対処の方向性として、新たな双方向的な循環を再構成することが提案されました。 その具体的な形として示されたのが、仕事と家族を両立するワークバランス、新卒一括採用に囚われず、教育と仕事を往復できるようにすること、教育関係の公的支援や教育機関による家庭のケアなど、それぞれの社会領域が自立性を保ちつつ互恵的関係を持つ循環モデルの姿でした。 講義に聞き入っている間にいつの間にか時間が過ぎていました。質疑応答では東大生や年配の方から質問がなされ、講義の終わりには満場の拍手が起こるなど、講義の魅力が伝わってきました。

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掲載日:11-11-17
担当:山内雄太
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