乳酸の新たな視点からみる運動の疲労とエネルギー代謝

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身体運動科学がご専門の八田秀雄教授が講演をなさいました。運動直後に増える物質に、「乳酸」があります。この乳酸に関して先生は、多くのメディアによって広まっている噂とは異なり乳酸は疲労の原因ではないということと、乳酸測定を活かしたマラソンのための効率的なトレーニング法についてお話しになりました。乳酸は疲労の原因ではなく、運動など多くの糖が急激に分解されたときにできる物質で、エネルギー源にもなるそうです。乳酸は疲労の原因ではありませんが、大ざっぱに言うと疲労の「結果」の一つと表現できます。乳酸は糖の分解により生成され、糖の不足は疲労の一つの原因となっているので、血中の乳酸濃度を測定すると体内の疲労状況を推測できます。この推測を通して、疲労を減らすためのトレーニング法も研究されています。適切なトレーニングによって、ミトコンドリアを増やし脂肪利用能力を高め、運動時の糖の枯渇を防ぐことができるのです。

乳酸に関する前半のお話では乳酸悪玉説のような噂を防ぐためにメディアリテラシーの重要性を先生が強調されていたことが印象に残りました。また、八田先生の研究室の大学院生は箱根駅伝予選会に参加し、先生自身もマラソン大会に出場しているそうです。トレーニングに関する後半のお話では、これらの競技大会の測定に関する部分が印象に残りました。聴衆は講演を通して熱心に聞いていたようでした。途中には先生の関わった教科書改訂や、陸上の世界選手権のテレビ中継に応援している八田先生が映ったことに関する雑談も少しあり、笑いが起きていました。講演の途中や最後には質問の時間が設けられ、高校生から年長者までさまざまな年代の人々が、トレーニングや代謝に関する質問をしていました。先生が親しみやすく語られていたこともあり、身体運動を学問的に探究するとはどのようなことなのかがわかりやすい講演となっていました。

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担当:伊藤重賢
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