現代教育論

前期課程の教育に関する講義は、文理を問わず多くの人が受講しています。今回は、教育の実態を扱う「現代教育論」の第一講の講義録を掲載します。


この時間は現代教育論です。私と松島先生の2人で担当します。

初回のアンケートの提出者数をみると1科類だいたい60名でほぼ均等にわかれていて、多くの人が1年生ですね。全部でだいたい340名くらいですか。

学習アドバイス制度があるので、質問や相談があれば、配布資料に書いてある日時に私の研究室に来ていただければアポ無しでも対応します。この時間帯以外の質問はメールで送ってください。

成績評価は試験5割、レポート5割です。レポートは3回実施します。このレポートには出席点の役割があります。 レポート用紙の配布は授業中でのみ行い、宿題とします。最初のレポートは10/30、11/6で2回配布し、11/13の講義で回収します。レポートは講義のときに直接渡してもらっても、研究室の前にあるレポート入れに入れてもらってもかまいません。レポートについては以上です。試験については後で話をします。

この授業中にアンケート調査を4、5回行います。これはわれわれの研究のための資料に使います。私の研究室の研究調査をお願いするということと、もうひとつ、学生相談の資料とするということです。得られた結果はみなさんにお知らせします。

調査は強制ではなく自由意思でお願いするもので、授業の成績とは関係ありません。アンケートは匿名です。途中でやめていただいてもかまいません。調査結果は全体として統計分析にかけられます。以上のことに同意した方のみ参加してください。

また、この授業でやるアンケートとは別に心理学実験の被験者協力の募集もしています。実験の協力をしていただけると謝礼も出ます。こちらの結果の報告は、授業中や個人的にフィードバックを行い、またホームページでもお知らせしています。

講義の予定ですが、10/16、つまり今日は、学校教育の病理について話をします。来週からは3回にわたって、学生相談所の松島先生に非行といじめと不登校についてお話をしていただきます。

これから授業に入ります。配布資料を配りますのでしばらくお待ちください。

それでは今日は初回ですので、この授業全体について考えるために学校教育の病理についてお話しします。まず、青年はどのようなことに悩んでいるのか、今日は3つのお話しをします。問題意識を高めるためのクイズと、学校と青年の事件談、教育病理の構造について。

最初は、私が10年前に、当時勤めていた大学の教育学部の学生さんに出した問題です。「中学校における3つの現象の関係について」。aが「校則の強化」、bが「いじめ」、cが「対教師暴力」です。いじめに比べて残り2つは最近あまり取り上げられませんが、少し前には大きな問題だったのですね。 学生さんの答案はだいたい3つのパターンに分かれました。

第一に、地方や公立の中高、とくに中学校は校則がとても厳しいんですよね。それで、校則の強化によって欲求不満が強まり、先生に隠れたいじめを引き起こし、一方で表立った対教師暴力が起こる。学校側はそれを押さえつけようとしてさらに校則を厳しくする。しかし、校則を強めたためにいじめや対教師暴力が起こったわけですから、校則を強めればそれらはさらに悪化する。このように、校則を強めるといじめや対教師暴力が増える、それによってまた校則を強めるという悪循環が起こっているためにいじめや対教師暴力がエスカレートしていったとする。つまり悪の根源は校則にあり、学校側が校則を緩めるといじめや対教師暴力は減るという考え方です。こういう考え方、悪循環説がひとつ。

第二はエスカレート説です。中学生には受験のストレスがかかる。そして、生徒は受験戦争での欲求不満や学業不振による鬱憤ばらしのためにいじめにはしり、それがエスカレートして矛先が先生に向かった。これが対教師暴力であり、これらに対処するために学校側が校則を強めたと考えます。この場合の悪の根源は、受験などの学歴社会、学歴を巡る競争社会であるという考え方です。

それから第三のパターンなんですけれど、これはまず非行ありきと考えます。非行は、昔は学校の中には入って来ないで、学外で行われていたんですけれど、ある時期から学校の中に入るようになった。それが対教師暴力として現れたというわけですね。で、学校は校内暴力を抑えるために校則を強化した。生徒は、確かに先生の目に見えるところでは大人しくなったけれども、今度は逆に、先生に見えないところで生徒同士のいじめをした。だから先生は、校則を強めればいじめが蔓延するし、校則を弱めれば対教師暴力がまた息を吹き返すと。校則は強めてもまずいし、弱めてもやっぱりまずいという板挟み、ジレンマ状態になっているということです。確かに校則っていうのは、いじめを蔓延させているかもしれないけれど、あんまり緩めすぎるとまた学校が暴力の世界に戻ってしまうという考え方。

学生さんの答えでは、この3つのパターンが、意外に、均等に出てきたんですね。学校の教師の卵の人たちから。これ皆さんにもちょっと聞いてみたいんですけれども、3つのうちどれが妥当だと思うか。まず1番目の悪循環説が妥当だと思う方、手を上げていただけますか? ――だいたい4分の1くらいですね、はいありがとう。それから、エスカレート説、受験のストレスからいじめに入ったんだという説が妥当だと思う人? ――これも4分の1くらいですね。それから3番目の、板挟み説が妥当だと思う人? ――はい、これは3分の1くらいですね。ここでもだいたい3分の1ずつくらいに分かれました。 それでは、一体どれが妥当かというと、もちろん地域によっても、中学校や高校の環境によってもずいぶん違うと思うんですね。私の学校ではエスカレート説が妥当に見えるだとか、僕の学校では悪循環説が妥当だと思えるだとか、そういう方もいらっしゃると思います。

で、私の考え方としては、日本全体の歴史的な流れをたどると、板挟み説が妥当なのかなと思っているわけですね。それを次にお話ししたいと、ちょっと歴史をたどってみたいと思います。


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掲載日:14-10-19
担当:UT-Life