現代生命科学I

講義紹介の第4回は、文系の学生を対象として開講されている「現代生命科学I」を紹介する。講義を担当する石浦章一教授にお話を伺った。


1.どのような講義なのか | 2.文系の学生に対する生命科学とは


「現代生命科学I」で取り上げる領域

今、文系の方は、高校で生物を勉強している方が多いものですから、我々の身の回りにある生命現象が興味深く感じられることでしょう。 しかし、それらがなぜ起こるのか、分からないところが結構あるので、それを分かりやすく説明したいというのが一点。 もう一つは私の専門である脳や神経に関係した人間の心の動きや知能について、現在どのくらいまで分かっているかということを、学生さんの方に伝えたい。 講義で取り上げることは何かと訊かれたら、この二点に尽きると思います。

有り体に言ってしまえば、まず新聞記事が分かるようにしなければいけない。 狂牛病の危険性といったことから始まり、生命科学についての記事が簡単に理解できるかどうか。 もっと大事なのは、その中に潜む怪しいものとそうでないものをどう見分けるか。 科学的なものの見方ができるかどうか。それを学生の皆さんに分かってもらうために講義しています。

石浦先生

13回分の講義で何をやるか、学期の初めに決めるわけですが、毎年同じ事をやるのではなく、今年は身体のことをやろうとか、 今年は脳でいこうとか、環境問題のことや、最近話題になっている生命倫理など、何か一つのことをまとめてやろうというテーマを自分で決め、 それに沿ってやっています。 リアルタイムで何か分からないことがあると、人間困ることが多いものですから、毎回なるべく最新の話題を扱うようにしています。 あとは、どういうことを教えて欲しいかを学生に聞きながら、ある程度皆さんの希望のストライクゾーンに入るように、 毎年講義の内容を変えています。

研究分野と講義の連関

私の研究分野は、簡単に言うと「分子生物学」というもので、分子のメカニズム・DNAから始まって生体分子の行動がどのように個体に影響するか、 私の場合はどういった病気の発症や性格・意思・行動にDNAの変異が影響を及ぼすかという方向で研究しています。 私は人間に興味がありますから、今まで分からないといわれていた人間の行動、気持ちを物質レベルで解明できないかというのが願いです。

そのためには何を材料とすればいいかが重要な問題となってきます。 生物の研究では、遺伝子変異が生じると何が起きるかということをモデルにするとやりやすいんです。人間の場合は遺伝病ですね。 DNAの変異で、たとえば急に性格が変わったり、凶暴になったりすることって結構あるんですよ。 そういう例を研究すると、人間の行動・凶暴さ・心の温かさなどはどのようなところで決まってくるのか、分かるんじゃないでしょうか。

ただ、普段研究していることはあまり講義とは関係ないんです。 講義は本当に基本的なことを教えているので。 もちろん無駄話とか、面白そうな話とか、新しい話を授業でする時はしますけど、授業でやる話は大抵100年前くらいの発見についてのことです。 でもそういった基本的なことを押さえないと、新しいことは分からない。 大学1年生のときに基本的なことを一応マスターしておいて、広い視野や知識を持った人だけが、次のステップへ行くことができるのです。学生の皆さんには基本的なことをたくさん知っていただいて、そこから自分で考えて、新しいものを作っていく力を身につけて欲しい、そういうつもりで授業をしています。


1.どのような講義なのか | 2.文系の学生に対する生命科学とは

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掲載日:06-07-12
担当:渡邉洋平
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