科学技術社会論

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講義紹介の第2回目は、藤垣助教授へのインタビューをもとに執筆いたします。

藤垣助教授は、今年度まで「システム論」の講義を担当されており、2006年度からは、同講義の内容をさらに深めた「科学技術社会論」を受け持たれることになっています。この名称が明確に示している通り、科学技術と社会の接する領域を扱う同講義についての話題から、ひろく教養教育全般についてお話をうかがいました。


1.システム論、科学技術社会論の紹介 | 2.教養学部について | 3.学生へのメッセージ


システム論、科学技術社会論で扱う領域

この講義では、原子力発電所の事故や公害病、遺伝子組み換え食品の規制など、科学技術が社会の中で用いられる際に問題が起こるような事例を採りあげて、それらを問題の枠組みから問い直していくことを目指しています。『科学技術社会論の技法』(編注;藤垣編、東京大学出版会、2005)という本を教科書として使用しますが、この本の「まえがき」で私が述べたように、「テクノロジーと知の間の関係を考え、いわゆる理科系の諸学問の原理を問い直す」ことを目指し、「これまで文科系と理科系双方から等閑視されてきた、膨大な境界領域」で生じる問題を対象としています。

この記述は、基礎演習(編注;文系の1年生を対象に駒場で開講されている必修講義)の教科書である『知の技法』(編注;小林康夫・船曳建夫編、東京大学出版会、1994)を意識しています。『知の技法』では、テクノロジーと知の関係については範囲外とされていますが、その隙間に焦点を当てたのが科学技術社会論なのです。教養学部では、学生に理系と文系の接点の課題について学んでほしいと考えており、その意味でも境界領域が重要な意味を持っているのです。

この講義で学生に伝えたかったこと

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この講義では、例えば原子力発電所の事故などを、報道の内容のまま鵜呑みにするのではなく、もっと大きなシステムから考えられないかという視点に立って、問題自体を構成し直すこと、再構築することを目標としています。すなわち、学生が「フレーミングの問い直し」を自分でできるようになってほしいのです。 ですが、それが学生全員にしっかり届いているかというと、どうかな……(笑)もちろん、教官と学生の間で、ある程度の齟齬は出てきます。それを埋めるため、昨秋は学期の途中でグループ討論をさせ、最終授業でプレゼンを行うという形式をとりました。討論のなかで私がいくつか問いかけを行い、その反応を見ながら、もし論点がずれている学生がいたら指摘してみる。こうすることで、少しでもギャップを埋めていくように努力しました。また、最終発表の際に、受講者全員にプレゼンに対するコメントを書かせたところ、多くの学生が論点を理解しているという印象を受けました。このように、インタラクティブに講義を行ったことは、教官側としては大変でしたが良い結果を得られました。

講義のなかで特に留意したのは、講義で扱った技法を用いて、学生に自分でテーマを選ばせて分析させたことです。自分のものとして考えないと、講義に対して常に受身であり能動的にかかわることができない。自分の設定したテーマになると、学生の目の輝きがとたんに変わってくるのです。みずから手を動かしてデータを集め、しっかりとした方法論に基づいてやる。このように、自分の頭で考えることを講義のなかで実践してほしいと思います。


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掲載日:06-03-29
担当:菅原慎悦
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