教育行財政学

受講前

「教育行財政学」は、教育に関わる行政学・財政学や教育(主に学校教育)経営学の基本を学ぶ授業です。教育学部に進学が内定した筆者は、日本の教育システムについてきちんと勉強しておきたいという動機でこの授業を選択しました。受講前はニュースで教育委員会の責任問題について取り上げられても漠然と「教育委員は複数人いるから責任の所在があいまいなんだな」くらいにしか考えておらず、一般の認識と変わらなかったと思います。また、身近に小学生・中学生・高校生がいないため、学校教育については昔の自分の実体験や想像でしか考えることができないような状態でした。

前半:教育行財政学

前半の授業は、教育行財政分野について「教育行政の範囲」「中央政府」「地方政府」「中央と地方の関係」「教育費と教育財政」「教育課程・教職に関する制度」に関するお話でした。例えば、教育行政を運営するためには教育費が必要であり、その大部分が教職員の給与です。そのため議論は教員の給与を誰が負担するかということに行き着きます。教育の現場である地方自治体が人事権を持ち、費用負担を行うのが理想ですが、それでは地方格差が生まれるため、義務教育職員は身分が地方自治体職員であってもその人事権が都道府県にあり、教員の給与は国が3分の1、都道府県が3分の2払っているという複雑な構造になっています。教員の数の調整は採用数でしか行うことができないため、教員の世代に偏りがあるという問題があります。

この前半の講義では教育委員会のシステムについても取り上げられました。教育委員会の設立された歴史的経緯やメリット(政治的中立、住民の意見の尊重など)も公平な立場で学ぶことができました。いじめ自殺の責任問題で教育委員会が批判されているのは知っていましたが、この授業を受けるまで教育委員会のメリットについては知りませんでした。そのため、この授業を受けることで何かを批判をする前にそのものをよく知ることが大事であると実感しました。

後半:教育経営学

後半では学校教育の経営について議論しました。毎回レジュメに最近の教育に関する新聞記事が載せられているので、学校教育から離れてしまった私でも最近の話題として理解することができました。例えば、全国学力テストの問題では、いくつかの自治体は学校の成績を公表するように求めています。それによって学校の評価ができ、競争原理に基づく教育の質の向上につながると考えるからです。成績を公表することによって、子供の成績が低いと学校は努力していない、高いと努力しているという判断がされるかもしれませんが、実際は前者はとても努力していて現状を維持しており、後者はたまたま成績のいい子どもが集まる地域(例えば経済的に裕福で子供を塾に行かせることのできる家庭が多い地域など)だったという可能性もあり、学力テストの成績の公表が学校の評価にはなるとは単純には言えないのです。何気なく私たちが議論している教育問題一つをとってもそこは複雑な要素が絡んでいることを実感することができました。

授業では先生の講義だけではなく、他にも2人1組になって、先生から渡された2種類の論文や教科書のコピーなどをお互いに説明しあうワークや先生から与えられたテーマについて少人数でのディスカッションをしました。そうすることで、教育経営について理解が深めることができました。

受講を終えて

この授業を受けたことで、教育行政学の講義で学んだ日本の教育行政のシステムや、教育学では定番とされている学説や研究について知ることができました。教育学の本を読むときに「これは教育行財政学の授業で習った」という部分を見つけることがあり、これまでよりも理解を深めることができました。

成績評価は期末試験のみなので、授業に出席せず配布プリントを手に入れて試験に臨めばいいと思う学生もいたかもしれませんが、実際に先生から講義を受けたり、周りの学生と数分でも話し合ったり、意見を出したりすることは重要だと感じました。日本の教育のシステムの一端を知り、今後より理解するためのきっかけにすることができたと思います。

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掲載日:14-05-11
担当:久保京子
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