労働法

受講前

労働法は公務員試験の選択科目であり、以前から公務員を目指していたため受講しました。せっかく法学部に所属しているので、公務員試験ではできるだけ法律系の科目を選択したいと思っていました。さらに、民法が別の法を解釈する際にどのように応用されるかということに興味があったことも受講理由の1つです。

労働契約は民法上の契約の一種であるので、労働法は民法の発展形の一種というイメージがありました。受講者は選択科目にしては多く、出席している人数も必修科目に匹敵していました。

労働保護法

労働保護法とは、労働基準法を中心として、個々の労働者を対象としてその保護を図る法分野です。中でも賃金や労働時間に関する規定は講義当時の国会でも議論の争点になっている部分であり、現在の主要な論点を知ることができました。労働時間規制の例外が濫用されるのを防ぐ方法、有給休暇の取得率を高めるための改正案などが講義で強調されていました。

有給休暇は時季指定権を労働者に与えるとかえって取得を惜しむ場合が多発したため、改正案では時季指定権の一部をむしろ使用者に与えて消化率の増加を図っているとのことです。僕にとってこの発想は逆説的で、名文上の効力よりも労働実態に対する効果を重視するのが労働政策の特徴なのでは、と思いました。

労働者の保護のためにどのように法が整備、解釈されているのかに関する理解が深まった気がしますが、後述する他分野も踏まえないと労働法の全体像はわからないという印象も持ちました。

広義の労働契約法

労働契約法とは、使用者と労働者との契約を対象としてそのあり方を定める法分野です。「労働契約法」という法律が2007年に制定され、これが狭義の労働契約法とよばれるのに対し、法分野としての労働契約法は広義の労働契約法とよばれています。人事など契約としての特性が強い部分はもちろん、雇用など労働のあり方に根本的に関わる部分も多くカバーしているため、講義で労働保護法と同様に多くの時間が割かれていました。

講義ではアメリカやドイツなど他国との比較が多用されていました。労働の柔軟性を重視するアメリカ、労働者保護重視を伝統としながら雇用を柔軟化したドイツ、雇用保障を厚く確保する一方で労働条件は柔軟とする日本というように、経済の国際化に対応するために法改正が進んでいるという共通点はあるものの、各国で労働契約法の方向性が大きく異なるからです。

僕は演習でヨーロッパの労働政策について文献講読をしていたので、法と社会とのつながりの複雑さについても思いを巡らせながら講義を聞いていました。

集団的労働関係法

集団的労働関係法とは、労働組合法を中心として、労働者の組織のあり方を定める法分野です。労働組合の組織率が低下してもなお労働組合を前提とした労働交渉の規則が適用され、その中で交渉の実質化が図られていることが興味深いと思いました。

試験

受験者は講義同様に多かったです。説明問題、簡単な事例問題、詳細な事例問題の3問が出題されました。僕は詳細な事例問題の解答の結論を途中で書き直したので、それがどう評価されるかによって成績が変わる気がしています。

受講を終えて

労働法は法分野の中でも実際の経済や社会の動きと密接に関連する分野だと感じました。さらに、労働法の中での各分野相互のつながりも深く、全体像を把握するのが少し難しいとも思いました。その反面、民法だけでなく、行政法など様々な他の法分野からの影響がわかりやすくて面白かったです。労働関係のニュースを以前よりは正確に理解できるようになった気もします。


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掲載日:16-05-01
担当:伊藤重賢
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