考える力を育てる/コントラクトブリッジ

駒場で開講されている主題科目には、集中講義などさまざまなタイプのものがありますが、このゼミは毎週1回90分の授業形式で行われます。

このゼミは、思考能力を用いて競うスポーツ、すなわちマインドスポーツの1つである「コントラクトブリッジ」を学ぶことで、思考能力を育てるのが目標です。

担当するのは、理学部地球惑星科学専攻のゲラー教授。コントラクトブリッジの国内大会で何度も優勝しているベテランです。日本コントラクトブリッジ連盟のアシスタントも加わって教えてくれるので、学生の人数に対して講師が多く、気軽に質問できるようになっています。

コントラクトブリッジとは

コントラクトブリッジの様子

向かい合う2人がパートナー
※写真はゼミ時間外に撮影したもの(以下同じ)。

コントラクトブリッジは、1組52枚のトランプを用いて4人でプレイするカードゲームです。テーブルで向かい合った2人が味方(パートナー)となります。

オークション(後述)で、何トリック勝つかの目標を決定したあと、1人が1ターン(これを「トリック」といいます)に1枚ずつ手札をだし、これを13トリック分行います。とったトリックの数が、あらかじめオークションで決定された目標の回数を上回っているかどうかで、1回の勝負が決まり、勝った方に得点が入ります。

他のトランプゲームでは、5人で行われる「ナポレオン」とゲームの流れがかなり似ています。

コントラクトブリッジの日本の愛好者数は10万人で、同じマインドスポーツとして認知されている囲碁の500万人などと比べると少ないのですが、世界の愛好者数は1億人といわれ世界ではメジャーなゲームで、国内でも毎月のように中規模の大会が行われていています。

ゼミの進め方

このゼミを履修する人は、日本ではトリックテイキング(各プレイヤーに同じ枚数の手札を配り、札を配り終わったら、手札が無くなるまでトリックと呼ばれるミニゲームを繰り返し、各トリック毎に勝者を決め、勝ったトリックの数によって勝敗を決める方式のゲーム)のゲームがあまりメジャーではないこともあり、ほとんどがコントラクトブリッジをプレイしたことがない人です。そのためコントラクトブリッジの基礎の基礎から学ぶことになります。

履修者は、ブリッジの学習のために作られたコンピュータソフトを用いて予習し、その日に行う部分の基礎を勉強して、授業に来ます。授業では、予習したことについて少し復習した後、実際のゲーム形式で同じ場面を再現し、学んだ知識を実際に使えるように練習します。

コントラクトブリッジの戦略

コントラクトブリッジの様子

コントラクトブリッジのゲーム風景

その授業の内容ですが、まずはトリックテイキングに慣れるところから始まります。

トリックテイキングになれたら、勝つトリックを増やすための様々な技術を学びます。プロモーションやフィネスといった、原理は簡単なことであっても、学んでみると「そんな方法があったのか」と感心するものです。なお、コントラクトブリッジのカードのプレイの戦術は確率論に基づいているものが多く、先生の「ブリッジは確率のゲーム。確率論的に正しい出し方をした方が、長い目で見れば勝つゲームになっている」という言葉が印象的でした。

最初の手札は13枚で、プレイにおいては選択肢は高々13しかないのですが、実際にはその後の展開を考えたり、誰がどんな手札を持っているかを推測したりしながらカードを出していかないといい結果にならないので、とても頭を使います。

そして、中盤は、ゼミの講義の半数近くを割いてオークションの練習を行います。

コントラクトブリッジの大きな特徴の1つがこのオークションで、パートナー同士で手札の情報を交換し合い、何トリックまでの目標なら達成できるかを推測したうえで宣言しているところが他のゲームと違います。コントラクトブリッジでは、高い目標を立てると成功したときに大きな得点になるためこのようなことをやっているのです。

実際の試合を体験

最終回には、東京の四谷にあるブリッジセンターに行き、全員で試合形式のゲームをします。その間には、ブリッジセンターで行われている大会の様子を見学します。コントラクトブリッジが社交的なゲームといわれているだけあって、試合前は和やかな雰囲気でしたが、試合の最中は、特に上級者のテーブルでは勝負に真剣になっていて、緊張した様子でした。

感想

コントラクトブリッジの様子

コントラクトブリッジのゲーム風景

私はコントラクトブリッジのルールは前から知っていました。そのころは、コントラクトブリッジはナポレオンなどと違い、切り札以外に役札がないので割と単調なゲームなのかなと思っていたのですが、オークションではパートナーと手札の情報を交換して、何トリック取れるか推測するところ、そしてトリックを取るために使われる数々の技術があることを知りました。半年間プレイしただけではコントラクトブリッジの奥深さのごく一部しか分からないくらい、コントラクトブリッジは奥深いゲームであることを実感することができました。

この記事でコントラクトブリッジのゼミを紹介したのですが、オークションにおいてどう宣言すればいいか、どの札を出せばいいかを真剣に考えているときの思考は、やはり言葉では十分説明できていないように思います。興味を持ったら、実際にコントラクトブリッジを学んでみてはいかがでしょうか。

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掲載日:11-05-08
担当:小長谷貴志
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