全科類対談

東大独自の文科一・二・三類と理科一・二・三類の計6科類によるコース分けは、他大学の学部学科によるコース分けと比べてその違いが分かりにくいのではないでしょうか。そこで今回UT-Lifeでは前期課程の各科類の2年生による各科類の違いをテーマとした対談を行いました。


1. 講義編 | 2.進学振り分け編


前書き

東大独自の文科一類から理科三類までの区分は、学部学科で入学者を募集している他の大学と違って名前からではその実態が全く分かりません。東大生でも6科類のそれぞれの特徴をしっかり説明できる人は意外と少ないかもしれません。そこで今回UT-Lifeでは前期課程の各科類の2年生6人による各科類の違いをテーマとした対談を行いました。これを読めば各科類の違いがよく分かる!?

注意
・発言者の予想や考えをそのまま掲載しました。あくまで参考としてご覧ください。

はじめに〜自己紹介と科類紹介〜

I.K.(以下 司会):それでは全科類対談を始めます。これは全科類が集まって自分の科類のことについて話して、各科類の違いを見つけようという企画で……したが、理科三類の方が遅れるそうです。まずは自己紹介をお願いします。ちなみに私は理科二類の中国語選択のI.K.です。

※編註:以下 文科一類なら文一、理科三類なら理三のように「科」「類」を省いた表記を用いることがあります。

M.H.(以下 理二):理科二類中国語選択のM.H.です。農学部獣医学課程に進学内定しています。
 理二は理一よりは生物系の方に関心のある人が多いと思います。その影響があるのか、女子の比率は理一より高いです。そして理二はだいたい理三と同じクラス分け(編註:東大は前期課程の間、原則として科類及び第二外国語に応じて30〜35人程度のクラスに分けられる。必修の講義は基本的にクラス単位で受講することになる)になっていて理三がクラスに数人いる状態で授業を受けます。それが結構刺激になったりします。
 進学先は農学部が多くて、薬学部も多いです。工学部も結構いて、うちのクラスでは経済学部も結構人気でした。ごく稀に医学部医学科に進学するつわものもいます。

A.K.(以下 文二):文科二類ドイツ語選択だったA.K.です。文二はだいたい文一と同じクラスで、文一に比べてやや少なくてマイノリティ感があるのですが、理二と理三の話と同じように、いっしょになっていることで、法学の話を聞けて刺激を受けます。
 進学先は経済学部がほとんどですが、そのためか結構数学が得意な人も入ってきているので理転(編註:文系の学生が、理系の学部学科に進学すること)する人もいて、知り合いだと工学部に行った人もいます。

K.H.(以下 理一):理一2年のK.H.です。第二外国語は中国語です。工学部の電子情報工学科に進学内定しています。
 理一の進学先は工学部と理学部でほぼ占められてて、その2つで約9割です。そういう理工系メインの科類ということもあって男ばかりです。駒場男子短期大と言えるかも(笑)。しかも結構コアな感じの(笑)男ばっかりの科類ですね。理工系じゃないところに行ったのは、うちのクラスだと経済学部に1人と薬学部に1人だけかな。あとはもう工学部理学部。そういう意味では面白みもない科類ですね(笑)。

H.M.(以下 文三):文科三類フランス語選択だったH.M.です。進学先は文学部の思想文化学科の美学芸術学に内定しています。
 文三フラ語(編註:文科三類フランス語選択の略)だったので女子が一番多いと言われているクラスです。女子がクラスの半分くらいで、下クラ(編註:1学年下の同じ番号のクラス。例えば2009年度入学文科三類20組の下クラは2010年度入学の文科三類20組)は女子の方が多いくらいなんですね。

理一:唯一女子のほうが多いクラスですね。

文三:うちのクラスは女子がちょっと少ないくらいですが、女子会もよくあるしクラス会も活発で、クラス仲はいい方だと思います。
 進学先は文学部が一番多くて、教育学部も多いです。最近は後期教養(編註:教養学部後期課程のこと)が人気あるのですが、文三から後期教養に行くには80点とか高い点(編註:進学振分けは2年夏までの成績に基づいて行われる。詳しくは進振りについてを参照)がいるので、とりあえず「後期教養狙ってるんだよね」と言う人は凄いという雰囲気があります。

I.K.(以下 文一):文一中国語選択のI.K.です。進学先は法学部です。
 文一はほとんど全員かな、法学部行くはずですね。クラスは文一と文二で半々くらいだったと思います。

講義の違い

準必修の違い

司会:時間割が科類の違いが一番分かりやすい例だと思うので、時間割について話していきたいと思います。まず文系、理系どちらにもある「準必修」という科目の違いについて話してもらいたいと思います。

理二:理系は準必修が2学期から入ってきます。準必修というのは受講者が多いのでクラス単位で受講する選択科目(編註:普通の選択科目は受講の際にクラス指定はない)ですね。
 2学期だと振動・波動論、図形科学Ⅰと情報科学の3つがが準必修でした。(編註:2011年度から1学期に開講される基礎現代化学も理系の全クラスで曜限が指定された授業になったが、ここでは準必修として扱っていない)

司会:結局は総合科目なんだけど、総合科目と違う点はどこなのでしょうか?

理二:学部に進む上で必要になるかもしれないところです。例えば工学部の音を扱うところに行く人は振動・波動論が必須だし、情報を扱う人は……。

理一:情報科学は理系は、みんな必要だと思いますね。

理二:必須スキルですね。図形科学というのはお絵かき作業みたいな楽しげな授業だったので結構取る人が多かったです。かくいう私も取りました。
 準必修はクラス毎に受けられる授業は決まっていて、振動・波動論のこの先生の授業しか受けられないとかいうのがあって、他のクラスの担当をしている先生の授業は受けられない。だから当たり外れも大きいです。

理一:そもそも準必修は正式な用語じゃなくて昔の名残です。この準必修に指定されているのは、受講する人が多いからいくつか違う時間に同じ講義を用意しましょうというものです。準必修じゃなくても教育臨床心理とかのように2コマ以上が用意されているものもあるけど、10コマくらいある情報科学は先生によって人気のある先生ない先生がいて偏りができるから、それくらい多いものはクラスを指定しましょうっていうのがコンセプトらしいです。でも正式な言葉でもなんでもないことはあまり知られていないかもしれません。

文二:扱いとしてはどうなるのでしょうか?

理一:ただの総合科目と同じです。

理二:普通に総合科目のF系列(編註:総合科目には内容によってA〜Fの系列があり、科類によって系列ごとの最低取得単位数が定められている。)と同じ分類で、総合科目として成績には反映されます。

理一:不可を取っても進級には影響しません。

司会:理系の「準必修」はここら辺にしておいて、文系でいう準必修とはどのようなものでしょうか?

文二:人文科学とか社会科学とかのことですね。文系の準必修というのは、名称としては人文科学と社会科学の2つに分かれていて、理系の準必修とは違って、必修科目や総合科目とは別のカテゴリに含まれます。社会科学と人文科学それぞれの中で何個か科目があって、その中から自分の受けたい科目を選ぶっていう形です。そして文科何類かや3年生に進学するにあたって取らなければならないものが決まってきます。例えば経済と数学を取らなきゃいけないとか、法と社会を取らなきゃいけないとか指定があったりします。
 社会科学の場合だいたい理系の準必修みたいにクラス毎に講義が分かれてて、ここのクラスはこの時間とかいう指定があったりします。人文科学の場合はだいたいは結構たくさんの講義に分かれているので、行きたいところにクラス毎の指定がなくていける感じで、結構普通の総合科目っぽい感じでやってるところが主だと思います。

司会:扱いとしては選択必修みたいなものですか?

文二:そうですね。必修よりは緩いけど何かは取らなきゃいけない。

司会:それは科類によって違うと。

理二:文一は?

文一:法Ⅰと法Ⅱでセットか政治Ⅰと政治Ⅱでセットで、どちらかを取ります。両方取っても大丈夫です。

文二:文二は経済Ⅰ、経済Ⅱ、数学Ⅰ、数学Ⅱの4教科の中から2つ以上取ります。

文三:文三は内訳の指定がないです。社会科学から何コマ取らないといけないとか、人文も何コマ取らないといけないとかはありません。別に歴史・心理いろいろありますが別に指定はないですね。そういう意味で文系の中では、授業に関して一番制約のない科類だと思います。

ALESSと基礎演習〜駒場の名物?講義〜

司会:続いて駒場で何かと話題に上るALESSと基礎演習の話をしましょう。

理一:ALESSっていうのは自分で選んだテーマで実験してそれを英語の論文に書いて発表しようっていう授業ですね。高校以前でまともに実験をしたこともなければ、論文もまともに書いたことのないような学生にそれを英語で書かせるような授業ですけど……。

理二:上の人は喜んでやっていますが……。

理一:タフな東大生を作るにはいいと思いますよ(笑)。

文三:楽しいって言ってる人もいましたけど。

理二:それは、先生によるんじゃないかと思います。

理一:俺のALESSの先生は逆評定(編註:時代錯誤社が発行している講義の分かりやすさやテストの難しさなどを学生がまとめた冊子。これを参考に時間割を組む東大生は多い)の後ろに載っていた人。大鬼(編註:逆評定の厳しさの指標のうち「最も厳しい」を意味する)の教官だけど、ただでさえALESSってだけできついのに……。
 理一は理二・三と比べて実験が厳しくて、例えば心理の実験とかそういうのは認めてもらえなくて(編註:理一だからというよりは、先生の方針の差によるところが大きいのが実際に近いと思われます)、きっちりと値が出るようなものにしろっていわれるわけです。それで、理二・三では違うと思うんだけど、結構実験のテーマは面倒くさいです。そして先生によっても大差あって、先生によっては、例えば2人で3人で実験していいとかもありましたけど、俺の先生は1人でやれって感じでした。でも、やってみたら実際に役に立ったと思います。終わってみればですが。

理二:やってる最中は、毎週の課題が大変だったから地獄でした。

理一:金曜1限行きたくなかったです。

司会:楽しいかは別にしてためになる授業でしたね。論文の書き方とかしっかり教えてくれましたし。

理二:ALESSも英語の扱いだからクラスで授業受けるので、落としたら下クラと実験やったりすることになるんですかね。

理一:他クラ(編註:必修科目の単位を落とした場合、学年が下のクラスと共に講義を受けること)で入ってきますね。でもってこれは先生選べないんじゃなかったっけ?

司会:自動的に決まりますね。

理一:他クラの先輩がその大鬼先生にあたって可哀そうでした。

文一:英語二列(編註:英語の必修は大きく分けて英語一列と英語二列がある)ですか?

理一:英語二列PAですね。

理二:アレスはALESS。

司会:えーと(調べている)、Active Learning of English for Science Studentsの略称らしいです。

司会:ALESSについてはそれくらいで、基礎演習についてお願いします。

理二:基礎演習はキツイって聞くから気になりますね。

文一:たぶん科類別で、クラス単位じゃなくて、俺のところは16組と17組の文一がセットで、隣のクラスと仲良くなれる講義です。テーマを自由に決めてプレゼンするだけです。日本語です(笑)。英語ではないです。一部の人はおいしいカクテルの作り方をやったり、東大内の男女比の違いについてやったりとか、そんな感じでした。図書館の使い方がうまくなるらしいです。調べてプレゼンするだけなので、1人でもできる感じなのに3人だったから結構楽だった記憶があります。

文二:基礎演習も先生によって違うみたいで、自分も自由に発表内容を選んで、学期中に発表すれば他は人の話を聞くだけだったんですが、先生によっては、発表前に先生が積極的に絡んでくる先生もいるみたいだし、あとは邪神(編註:逆評定で「大鬼よりもさらに厳しい」を意味する。特定の教授に与えられた指標)さんとかもいたみたいで、そこらへんALESSみたいに先生を選ぶことはできないので運に大きく影響されちゃうのかなと思います。

文一:3人グループでした。

文二:私たちのところは個人でやりました。

文三:いろいろ終わった後に重いレポート課す先生もいたし、うちもそういう感じだったんですけど、発表内容を文字に起こして丁寧に画像つければOKみたいな感じだったので、そんなにきつくはなかったですね。
 発表内容は個人でやったから趣味が出る感じで聞いてると面白かったです。安全保障について一生懸命に調べて時間オーバーするくらいの人もいればファッションが好きでおしゃれな感じの写真を延々と流す人もいました。文三はいろんな趣味の人がいるから、基礎演習は好きでした。

理一:うらやましい……。

理二:文系いけばよかったね。

理系の基礎実験

司会:実験の話を少ししておきましょう。理一と理二・三で内容が違いますから。

理二:文系の方に実験のつらさは分からないと思いますが、理系には実験というとてもきつい科目がありまして、基本的には3限・4限と連続2コマあります。しかも2コマで2単位(編註:通常の講義は1コマ2単位)です。
 何が信じられないかって毎週ある予習の段階でかなり労力を要するっていうところがしんどいですね。基礎物理学実験というのがノートを用意してそこに教科書の内容を手書きでコピーしていかなくちゃいけないんですよ。それで、それを予習として先生に提出します。
 実験してデータを取って、まとめてその時間中に考察まで書き終えて先生に提出して、認められたら帰ってよし。そして翌週へ。化学実験は予習してきたほうがいいよくらいで提出はなくて楽でしたが、教科書付属の報告書を書いて提出しなきゃいけませんでした。物理学実験と化学実験を、理一は2学期と3学期でどちらか1度ずつやるのですが、理二・三は2学期に基礎物理学実験と基礎化学実験を前半後半でわけて半分ずつやります。
 そして3学期に基礎生命科学実験という生物の実験をします。かえるをさばいたりしました。楽しかったです。でも苦手な人は苦手ですね。この生命科学実験は予習というのはそこまで要らなくて、レポート用紙にスケッチをしてその場で提出というスタイルでした。どの授業も予習としてDVDを見るというように言われて、高い教科書についてきたDVDを見てから実験に臨むハズでした……。

理一:理一と理二・三でやっぱり違うんですかね。ちゃんと読んだら教科書の丸写しで意味ないからという理由で、物理学実験は別に実験の内容を手書きする必要はありませんでした。先生によって違うのかもしれないけど、俺らの担当の先生はそう言っていて、物理学はちゃんと教科書読んでDVD見て来いということでした。だから予習はそんなに大変ではなかったです。
 化学実験は手順を全部ノートにまとめてチェックをしてもらう感じだったから、化学の方が面倒でした。最初に物理の人は予習癖がなくて化学実験で苦労して、最初化学の人は予習癖あったからちゃんと予習して、予習さえしてれば簡単だから結構楽に終わった感じですね。

理二:実験の特徴として長引くということがあります。一応2コマとってあるけど終わるわけなくて、考察書いている間に6時になったりして、3コマに相当する時間がかかったりします。

司会:だから実験の後の5限に必修がないのはそういう理由で、普通は総合科目も入れないのですが、今年度某クラスは実験の後の5限目に必修が入ったらしいです。その後教務課が時間割を変えてきたらしいですが……。

理一:頑張れば4限までに終わりますけどね。

文系特有の講義〜3学期までの専門科目と方法基礎〜

司会:続いて専門科目(編註:前期課程のうちに受講する後期課程の講義のこと)についてですが、3学期までに入っているのは文一だけですか?教職も専門科目と言えばそうですが、そちらはおいておきましょう。

文一:法学部にいく人だけ法学部専門科目が3学期にあります。法学部にいけなかったら無駄になるんじゃないかと思います。テストが4学期末に全部あるので、テストまだなんですよ。(編註:座談会開催は2010年12月)だから忘れると思います(笑)。通年のものと、この3学期に4単位あるのとがあります。

理一:通年とは大変ですね。

文二:経済学部は他の学部と同じで専門科目が4学期にしかないので文一の時間割と比べると余裕がでてきますね。

理二:ということは理二とか文三とかから法学部にいく人もこの専門科目を受けなくちゃいけないんですか?

文一:必修は取らないといけないんじゃないかと思います。取り損ねると駒バック(編註:駒場でしか開講されない講義を受講する為に本郷から駒場に来ること)でしょう。

文二:文三の方法基礎はどのようなものなんですか?

文三:文三の方法基礎はそれこそ準必修で、結構な数の中から2個選ぶんですが、私は水曜日と金曜日にありました。それも内容はいろいろで、少人数でプレゼンしましょうとか延々授業聞く普通の講義とかグループワーク中心の授業とか、パソコン使えるようになりましょうみたいな1学期の情報の延長だったり、レベルも先生もまちまちで授業の大変さも全然違いました(笑)。私は1つは普通の授業、もう1つはグループワークでプレゼンしようっていうものを取っていました。
 講義は水曜の1限と金曜4限でしたが、水曜1限は「1限かよ」って感じでみんな起きてませんでした。1限は出席をとる講義をとるのかどうかですね。内容は面白かったですけど。方法基礎は望めば文三じゃなくても取れるんだろうと思います。総合科目みたいなもんで、どうしてあれを方法基礎という枠でくくっているのか分かりませんでした。


1. 講義編 | 2.進学振り分け編


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掲載日:11-06-19
担当:稲森貴一
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